禍家 三津田信三著
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実は禍家を手にしたのは、最初にこれを読みたかったわけではなく同じく三津田信三さんが書いている「死相学探偵」シリーズが気になっているので、お試しとして買ってみたんですね。
そんな気持で買ったのが失礼になるくらいこの禍家は怖かったです(作品的にはこれは褒め言葉ですよ)。
物語は棟像貢太郎という中学生が千葉県に武蔵名護池という地に引越してくるところから始まります。
が、、、、初めて訪れた地にもかかわらず、不思議な既視感(デジャヴュ)を覚えたり、町の人に「ぼうず、おかえり」と声をかけられたりという体験をします。
また町にある「鎮守の森」に入ると得体の知れないものに追いかけらる、家に一人でいると物音がしたり自分以外の人がいるような感じ(霊体験のようなもの)を受けたりと、次から次へと怪奇現象に見舞われていきます。
そして、地元で友達になった少女・生川礼奈ともに家の過去と秘密、そして町が抱える「闇」の存在を探っていくきます。
最初は「霊」のような見えない存在が相手でしたが、徐々にそれが実際に存在した「人間」が引き起こしたことだということがわかり、最後には「近くにいた人」が相手にだったといことがわかってくるのですが、この現実感の乏しいところから現実感のあるところへの流れは読んでいて、怖さが引き立つ展開でした。
根底にあるのは、小さな村社会の信仰とそれに絡んだ掟ではあるのですが、何かにとり憑かれたときの人の狂気というものがしっかりと描かれているので、現代社会でもちょっとした歯車のずれから物語のような出来事は十分にありえると思います。
前半ホラー、後半ミステリーという感じで1冊で2倍楽しめるお得感はありますが、ホラーの部分がほんと怖いので、幽霊のようなものが苦手な人は避けたほうが無難かもしれません。
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