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風花病棟 帚木蓬生著

2012-01-26[読書医療系

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帚木さんというと、医療系長編のイメージが強かったのですがこの「風花病棟」は舞台になるのは同じく病院ですが、珍しく短篇集(全部で10話)になります。
風花病棟

短い中でもしっかりとしたストーリーがあり、また帚木さん自身が医者ということもあって、病院内や病気の症状等についても詳しく描かれていて、短篇もうまい作家さんだなと感じました。


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短篇集のため一つ一つ詳しく感想を書くのは避けますが、すべての物語に共通しているのは「花」と「病気、患者に対して真摯に対応する医師」の2つ。

花については、文庫版あとがきに作者本人がこのように書いています。

ゴールデン・ウィークには、時節柄さまざまな花が咲き乱れる。1篇につきひとつの花を添えれば、ややもすると暗い話に傾きがちな内容に、明りが灯せるような気がした。

確かにどの物語も病院を舞台にしているため、どんなに医師の苦悩と葛藤を切々と描いたとしても、結末はどうしても暗い方向に向かざるをえません(最後の「終診」だけは若干ニュアンスが違いますけど)。

しかも、帚木さんの描く内容は現場で体験したことがベースになってい、専門用語も多く登場(正確かどうかは判断できないですけど、嘘はないと思ってよんでます)するため、絵空ごととしてではなく「いつ自分の身に起こってもおかしくない」現実のものとして捉えられてしまうから余計なんですよね。。。

そこに「花」を添えることで少しでも、、、
という気持は作者の優しさでもある気がしました。

もちろん同じ「花」でも、ある人にとっては「故郷の思い出」だったり、ある人にとっては「生き甲斐」だったりと物語によって意味合いは違っているので、そこを中心に読み返すのもいいかなと思います。

自分は生まれてこのかた大病というのを経験したことはありませんが、これから先どうなるかわからない中で、万が一のことがあったら物語に登場するような「医師」に出会えたら幸せだなと読了後に感じました。

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