ヒトリシズカ 誉田哲也著
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子供の狂気から大人の慈愛まで、一人の少女が波乱に満ちた人生の中で最後に見たものは?誉田哲也が愛情を持った新たなモンスターを生み出した!
ヒトリシズカは第一章の「闇一重」から最終章「独静加」までの全6章で構成されていて、各章で1つずつ事件が起きるのですが、そのすべてが一人の女性につながっていくという連作になっています。
物語はとある住宅で一人の男性が拳銃によって殺され、その第一発見者となった警官の大村は現場に居てしかも殺人容疑が強い女性(この時点では中学生)を見逃してしまうところから幕を開けます。そしてこの女性は大村が見逃したことを告白すると同時に「失踪」という形をとり一旦物語から消えていきます。。。
若干ネタバレっぽくなりますが、失踪した女性こそが物語の題名でもあり、最終章のタイトルにもつながり、ここから物語のタクトを振ることになる伊東静加です(もう一度書きますが、この時点では中学生という設定です)。
ここから、ストーカーの殺害、静加を追う探偵の殺害と進みます。ここまでのテンポそして静加の存在感はかなりのものだったのですが、なぜか第4章「罪時雨」で一気に過去に戻る展開に、、ここで静加の出生の秘密が明かされるのですが、偽名の存在があるため若干混乱しました。
そしてラスト2章。
今までは「自分」が中心で動いていた静加が「澪」という「守るべき存在」をみつけた静加の心境の変化が一気に雪崩れ込んできます。
一人静かに大人への反抗心を燃やしつつも、大人に頼りながら生きていくしか術のなかった静加の物語はあまりも切ないエンディングを迎えます。でも、最後の最後に「他人」を思いやることができたのは静加にとってよかったのかなと思います。
ただ、、、、
贅沢をいうのななら、もう2~3章追加してでも孤独に戦ってきた静加の内面的な部分と、澪を手に入れて(ってこれもかなり過激に手に入れてますけど)からの平穏な時間をじっくりと描いてくれるとしっくりと終わったように思えます。
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