ジャンクワードの森

果てしなき渇き 深町秋生著

2012-01-18[読書ミステリ

当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

「果てしなき渇き」アウトバーンを読んでちょっと気になった深町秋生さんのデビュー作で、第3回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作品です。
果てしなき渇き

とはいっても、作品全体に漂っているのはミステリーというよりも、人間のダークを次から次へと見せていく後味の悪いと言うか、救いようのない雰囲気です。この雰囲気は馳星周さんの作品に通じる感じですね。


このエントリーをはてなブックマークに追加

物語の軸になっているのは、失踪した娘を追いかける元刑事の藤島(でも離婚しているため、何年も娘の顔は見ていない)と、その娘に思いを寄せている学生「尚人」の回想録の2本。失踪した時期と回想録とは時間的なズレがあるのもポイント。

失踪した娘を探す、、、、というとなんか暖かい物語になりそうなんですが、この藤島という男がまたどうしようもないくらいの「ダメ刑事でダメ親父(父としてだけじゃなく、人しても)」。

娘を探す過程で、ドラッグには手を出すは暴力は使うは、聞き込み(というかほとんど襲撃に近い)に行った家で暴行を働くはで、これでよく真相に近づいたなというくらいデタラメだらけのキャラです。

また失踪した娘も読み進めていく中で、どんどんと「裏の顔」を見せ始めていって、さらわれた可愛い娘を連れ戻すという綺麗な展開とは違った方向に進んでいきます。。。まあ、回りからの評判はいいにもかかわらず、高校生で暴力団とつながっていて、ドラッグの売人で、売春の手引きをしている等々、強引に押し込み過ぎた感じは否めません。

それでも、2軸の展開と文章の歯切れがいいため、どんどん読み続けることはできます。

ただ、追いかける藤島側、回想録側ともに暴力シーンはかなり過激に描かれていますし、性的な描写も容赦なく描かれているため、この手の描写が嫌いない人にとってはちょっとしんどい内容になっています。

しかも結果がハッピーエンドではなくて、切ないとも悲しいとも言えずあえていうなら「虚無感」という感じで後味が悪いんですよね、、、ダメ親父藤島としては悪くない結果だったかもしれないけど。

最後とって付けのようになっているため、それが真相とも言えませんが、最後に出てくる犯人(といっていいのかどうかよくわからない展開にはなっていますが、、)とその理由については唸るところはありました。

Sponsored Links

同じカテゴリの最新記事

運営者情報など

運営サポート

35-45 WOMAN

35-45WOMAN(サンゴーヨンゴーウーマン)は、「カッコいいけど身近」な女性向けWEBマガジン。

デザインとかコーディングとか、WordPressの構築とか裏側の部分を一通りやらせていただいています。

ブログ更新のアイテムとかスキルとか