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王様のトリック 吉村達也著

2012-01-16[読書ミステリ

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「王様のトリック」は旧財閥の別邸にまったく面識のない5人の人間(しかも全員のイニシャルが「M」)が集まるいわゆる「クローズド・サークル(吹雪の山荘もの)」ですが、特長的なのは最初から犯人が2人いると明言しているところ。
王様のトリック

もっとも、この2人自体はある種のミスディレクションを誘う仕掛けが施されているところは、ミステリーだけではなくホラー、サスペンスまで幅広い著書のある吉村達也さんらしい作品になっています。


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登場人物たちが集められたのは、北アルプスの要塞『奇巌城』。
ただでさえ交通の便が悪いところに、猛吹雪が起きて逃げ出すことはおろか、外に出ることも困難な状況の中、犯人のメッセージが発見される、、、

そこに明示されているのは「犯人が2人」「被害者数は未定」ということ。

集まった5人のうち、犯人の2人ということから、互いに疑心暗鬼にかられつつ物語が展開していきます。

ここまでの内容は犯人の数以外は「王道のクローズド・サークル」ですが、犯人の意図とは違う殺人(若干ニュアンスは違います)が行われたり、犯人自信の感情がコントロールできなくなるあたりにリアル感が漂うのが特長といえます。

また、クローズド・サークルではありますが、現場の5人だけではなく、犯人に近い2人の人物が外側から客観的に語り部となっているところで、引きこまれつつも冷静に読んでいくことができる仕掛けが入っています。

この2人の役目も物語の中では重要なファクターなんですけど、それは読んでのお楽しと。

集められた人間の関係性はちょっと無理がありますが、犯行の動機はかなり意外なものだったので、途中まで完全に騙されていました(被害者の選定にも一捻りあるんですけど…)。

そしてラストには、、、、

単にトリックものというだけではなく、親が子を思うことを考えさせられる内容になっていて、トリックがわかった時の意外さとは別に考えさせられる作品でした。

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