神田川デイズ 豊島ミホ著
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神田川デイズは都内のとある大学を舞台にした、主人公が次から次へと変わっていく、長編とも短編ともいいきれない「連作(あとがきの著者のコメントより)」です。
しかも、登場人物のほとんどが何かしらの「コンプレックス」を持っていて、それが絶妙で全体として「妙なリアリティがある青春小説」に仕上がっています。
例えば、最初の「見ろ、空は白む」に登場するいけてない3人組は、大学の明るい雰囲気に馴染めず、同類相憐れむのごとく、半分引篭もり生活を送っていますが、それではいけないと一念発起して「お笑いコンビ」を結成します。
また、「雨に飛び込め」に登場する準は、本当の自分と少し違う『クレバーな俺』を演じようとするも、そんなにうまく行かず自分の中で葛藤を繰り返していく。。。
などなど大学という枠を外したとしても自分の事として経験があったり、同じよな悩みを抱えた友人がいたりと柄にもなく「10代のころ」を思い出してしまいました(笑
設定面での上手さ、そしてネガティブな感情の読み取り方は素晴らしいと思いますが、それ以上に上手いなと感じたのはある人が憧れている人も内容は違っていても同じよな悩みを持っていることをしっかりと描いているところですね。
物語(連作ですが)を通じて、誰が一番ということを強調するのではなく、誰もがみな悩みながら成長している過程描かれているのが、リアリティをより強くさせていると思います。
この例えがいいかちょっと微妙ですけど、人間関係が縦関係の序列じゃなく、円(リング)のようになっている感じですね。
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