ジバク 山田宗樹著
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ジバクは嫌われ松子の一生で一世を風靡した、山田宗樹の最新作で嫌われ松子の一生同様一人の人間が転落していく様を描いたものです。
ただちょっと違うはジバクの主人公は女性ではなく、男性だという点ですね。
主人公は麻生貴志という男性で、物語の始まりの時点ではファンドマネージャーとして活躍しています。
転落の始まりは、同窓会に出席したこと。
そこで、昔の恋人と出会い不倫関係に。女性が金銭的に悩みを抱えていたので、株で一儲けさせる(いわゆるインサイダー取引を行う)。
その恋人には男がいて不倫をネタに新たなインサイダー取引の情報を脅迫さるが、そのことが会社にバレて会社をクビにされる・・・
もうここからは離婚、株で大損、転職するもすぐに廃業、バーで知り合った女性宅に転がり込むが、保険金殺人の被害者になる、その後警備員の仕事につくが業務中の事故で骨折、足を切断することに・・・
あっさり書いてますが、もちろんそれぞれのエピソードは詳しく描かれていますし、転落していく中での麻生の心境の変化や追い込まれた時の心情も丁寧に描写されています。
この辺は嫌われ松子の一生と同じですが、松子の場合は相手にしがみつくことで落ちていっていましたが、麻生は完全に自分を見失って自滅している点が大きな違いで、ここは男性の弱さを的確に描写しているように思えます。
その証拠ではないですが、これだけ多くの転機(もちろん悪い意味での)があるのに、時間としては6年ほどしか経過してないですから、男性は落ちていくと坂道を下るように一気だといえます。逆に松子はほんと一生かけでズルズルと落ちています。
最終章で、麻生は足を切断にもかかわらず前向きになり「今できること」を真剣に探そうとするようになるのは救いですが、それまでの落ちっぷりはほんと恐怖を感じるくらい見事なものがあります。
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