月のうさぎ 吉村達也著
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月のうさぎは、角川ホラー文庫からの発行ではありますが、一般的なホラー作品というよりは、SFの要素が多く入った雰囲気の作品です(角川ホラーから発行される吉村達也さんの作品の傾向でもありますね)。
作者の吉村達也さんといえば、朝比奈耕作シリーズ、志垣警部補シリーズなど、数多くの作品を書いていますが、角川ホラーから発行されている作品も結構好きなんですよね。
物語は、過去に子供を捨てた経験のあるホラー作家の高杉繭子と編集者である坂本、高千穂学園に通う小玉一星、乙姫さゆり、そしてUFOの存在を認める防衛大臣藤田と国家、、という3つの軸で進行していきます。
藤田の元に陸上自衛隊の花房三等陸尉が撮影したというエメラルドグリーンに輝く飛行物体(いわゆるUFO)の写真を持ってくるところから展開していきます。
続いて、小玉一星が乙姫さゆりに宇宙人の赤ちゃんが生まれる場所があると案内される・・・
この時点でこの作品が宇宙人が地球にコンタクトを取ってくることで巻き起こる事件を扱ったものだということがわかると思います。
そして、宇宙人からのこんなメッセージが送られてきます「《月のうさぎが完全に消える夜、日本列島は全土停電に陥り、人々は停電以上の大パニックに陥るであろう》」
「月のうさぎ」がなんなのか、停電以上の大パニックとはなんなのか、そして一星とさゆりに与えられた使命とは・・・・
概略だけ読むと侵略してくる宇宙人に対抗して、対決を挑む、、みたいな雰囲気もありますが、そういった展開にな全くならず-というのも宇宙人の力が圧倒的すぎて相手にならないです-、ひたすら運命を受けいれる展開になっていきます。
そこに人類の存在意義とか、本当に大切なものはなんなのか、というヒューマンドラマが入ってくるあたりが吉村達也さんのうまさを感じました。
展開はほんと予想外で、読んでて先が気になって仕方なかったです。
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