生誕祭(上)(下) 馳星周著
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生誕祭は1980年代後半、バブル真っ盛りのあの頃を馳星周が持ち前のスピード感と、ダークな切り口で描いた作品です。
馳作品はどうしてもダークな部分(性描写も含む)に目がいきがちですが、何気に「人を信頼すること」をテーマにしてる部分もあったりするんですよね。
物語の主人公は彰洋という20代前半の若者で、この彰洋が務めているディスコで幼なじみの麻美(本名はあさみだが、マミと呼ばせている)に再開し、不動産業を齋藤と出会うところから始まります。
そして、不動産バブルに浮かれ、美味しいい思いをするような展開・・・とはならず、バブル時代の不動産業に生息する魑魅魍魎たちの間で右に流され、左に流され、騙され、恫喝され、、、、と想像を絶するような体験をしていきます。
特に最初に出会った、麻美の振り回しっぷりはむちゃくちゃなんですが、これが妙にリアルに見えるところが物語の底を支えている感じがあります。多分メインキャラが男だけだともっと「夢物語」で終わっていたように思えます。
色々と振り回される彰洋は絶望することも多々あり、逃げ出そうとするんですが、その度に次の試練(半分は仕込まれたもので、半分は彰洋自身の責任かな)がおきて、逃げるに逃げ出せず追い込まれていきます。
いや~、この振り回しっぷりというか展開力が凄いので、トータルで1000ページ以上ある大作なのに途中でダレることなく読むことができました。
物語としてはバブルの事をしらなくても十分楽しめるんですが、馳さんらしい性描写もかなりあるので、この辺が苦手な人にはお勧めできないかな・・
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