全身麻酔 霧村悠康著
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最近ちょっと気になり始めている霧村悠康氏ですが、前に読んだ透白の殺意は「副作用解析医・古閑志保梨」シリーズでしたが、今回の全身麻酔はまったく別の話です。
やはり現役医師なので、手術室の描写とか医者の感情の部分はリアリティがあります。が、、、小説としては若干荒さが目立つ作品です。
物語の展開は、主人公の一人露村という患者が手術中に意識だけが戻り、手術の状況を知ってしいその時におきた手術の様子を「小説に仕立てる」所から始まります。
しかもその手術も普通に終わったのではなく、「1、手術中のミス」「2、患者の取り違え」「3、病状の間違い」と医療事故の見本のような事はぎっしり詰まった手術でした・・・で、それぞれのミスについてそれぞれの立場の人間が複雑に絡んできます。
また、霧村が書いた小説が病院の根幹を揺るがす「爆弾」となって展開していくのは軸が決まって読み進むのが早くなります。ただ後半(霧村は結局癌で死亡します)になって、なぜ小説を書いたのか、そしてなぜ病状が間違えたのか・・・という謎解きについてはちょっと焦りすぎの感があって、消化不良でした。
先に書いたように細かいところの描写についてはさすが現場を知っている、という感じがありますがそこに絡んでくる人物の描写がちょっと弱いので、どっちつかずの印象を受けました。一応、霧村が関係している女性についての叙述トリックもあってそれなりのトラップはあるんですが、わかりやすいんですよね(笑
あと、小説ならともかく名前の「音」が似ているからと行って患者を取り違えることはまずないでしょう・・・
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