小樽・カムイの鎮魂歌(レクイエム)―作家六波羅一輝の推理 鯨統一郎著
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作家六波羅一輝の推理シリーズ第4弾となる作品です。4作目ということもあって、主人公の作家六波羅一輝と編集者である北山みなみのコンビも息があってきている印象があります。
今回の舞台はタイトルからもわかるように北海道の小樽、しかもアイヌを題材としています(カムイはアイヌ語で神格を有する高位の霊的存在のこと)。
ストーリー展開の骨格は前3作と同様に
1、六波羅一輝が取材に行く
2、現地で殺人事件が起きる
3、それを六波羅一輝が解決
4、その話を元に小説を書く
のコンボですが、今回は現地に行く前に事故(最初に連絡をもらった時点では)が起きて、それを解決して欲しいという依頼からスタートするのがちょっと違う展開になっています(前作も同じような展開だったので、今後はこうなるのかな)。
しかも、、、
その依頼をした人が、、、、、
というのはネタバレになるので割愛^^
歴史や地域の情報を詳しく調べてから書くことが多い鯨統一郎さんらしく、題材としたアイヌに関しての内容はかなり詳しく描かれていて、思わずアイヌ文化について調べたくなるほどです。
逆に「アイヌの秘宝」の解説に重きを置いてしまったため、肝心の推理小説としての部分が若干薄くなってしまい、六波羅一輝の活躍が今ひとつパッとしなかったのは残念です。。。
薄いとはいっても、登場人物たちの相互関係とか、因果関係とか、心理的な状態とか伏線の張り方に関しては「らしさ」はありました。ただそれらを理論付けて納得できる形にまとめることができていなかった印象ですね。
この辺は作家六波羅一輝の推理シリーズも第4弾となって、推理以外にも、六波羅一輝の父親の存在とか六波羅一輝と北山みなみの関係といったシリーズものならではの広がりがでているからだと思います。
まあ、謎解きの部分は納得はできるもののコテコテの推理小説と比べると「軽い」ことは確かなので、本格推理小説ファンにはお勧めできませんが、軽い傾向が好きな方にはお勧めできる作品になっています。
→贅沢を言えばシリーズの頭から読んでもらいたい作品です。
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