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流れる砂 東直己著

2013-04-05[読書探偵物

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東直己さんといえば映画化もされた「ススキノ探偵シリーズ」が有名ですが、この作品は別のシリーズ「探偵・畝原シリーズ」の2作目になります。
流れる砂 東直己著

シリーズは違うといっても、メインとなる舞台は札幌が中心で、探偵が主役と雰囲気は近いものがあるので、読んでいてい時々混乱したことは何度かあります(ススキノ探偵シリーズも全部読んでいるし)。


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ススキノ探偵シリーズの主人公「俺」は独身で自由気まま間に暮らしている感じがありますが、畝原シリーズの主人公畝原はバツイチで小学校6年生になる女の子(冴香)を1人で面倒を見ている生活感ありまくりの中年男性です。

このキャラクター設定からくる、親としての葛藤や、子供を巻き込んだトラブル(近所に兄夫婦がいて冴香を預けることもしばしばある)、そして恋愛模様と普通の探偵小説と比べるとリアリティを感じさせるところが「探偵・畝原シリーズ」の面白い所でもあります。

なんて、バックボーンはいいとして、今作「流れる砂」ですが、物語は畝原がとあるマンションの管理人から怪しい行動をとっている住人(森英司)の素行調査を依頼されるところから始まります。

この管理人の目的は、森英司の素行の悪さを理由にマンションから退去してもらうだけのつもりだったのですが、調査の途中でそのの父親(森英勝)と父親が雇った私立探偵(柾越)が登場し、による説得をしたいと申し出てきます。森英司森英勝

説得して終わり、、、、、、
とはいかず、なんとその父親は息子を殺し、自分も自ら命を断つという急転直下の展開に!

しかも、この物語はただの親子心中では終わらず(終わったら636ページも必要ないですから)、畝原のものとにはこの事件の翌日にも行方不明の娘をもつ母親の素行調査を依頼されが飛び込んできます。

当初はまったく別物の案件だと思われていた依頼でしたが、依頼内容を確認しているなかで、なぜか森英司が登場。その関連性も含めて調査に乗り出す畝原ですが、今回の相手は予想外に大きな「闇」を抱えていたため、全貌解決には多くの苦労を犠牲を払うことになります。

いや、、、、
少しやんちゃなお兄さんの素行調査で終わると思ったら、援助交際に始まって、生活保護費の不正受給、保険金の不正受給といったお金関連の問題とそれに絡んでくる政治家、ヤクザの裏の活動(この2つは意外と緊密な関係にあったりします)が入ってきたかと思うと、宗教関連の話まで盛り込まれていてある意味「悪事の品評会」の様相になっています。

どれも無理やり押し込んだような雰囲気はなくて、悪事を働くなら必然的に関連してくるような流れになっているので、(ボリュームは多いですが)違和感なく読むことができます。

奥深い悪という「闇」に立ち向かう、、というか引き込まれる形で立ち向かうハメになった畝原ですが、体力的にも気力的にもギリギリの中で前に進みながら事件の全貌と首謀者(個人ではなく組織といったほうがいいかも)に辿りつきます。

世にある名探偵シリーズ(どれとはいいませんけど)のように快刀乱麻の活躍で事件を解決!
というのではなくて、大事な友人を亡くし、家族の危険に怯えつつ、自らも傷つきながら、小さな手がかりを大事に大事にしながら、1つまた1つと真相を暴こうとしていく畝原の人間味には心惹かれるものがあります。

文庫本とはいっても636ページとかなりのボリュームのある作品なので、長編を読み慣れていない人には少ししんどいかもしれませんが、探偵小説が好きで、主人公が少し頼りないほうがいいと思っている人(どんだけ制限かけるんだよ(にはお勧めの1冊になります。

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