インターフォン 永嶋恵美著
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せん‐さくを読んで気になった作家の永嶋恵美さんの幻冬舎文庫では2作目となる作品が「インターフォン」です。今作は団地をテーマとした短篇集となります。
あれやこれや(人間関係)は経験した人じゃないとわかりにくいところはありますけど、「集合住宅」として捉えたほうが想像しやすいと思います。
まったく内容とは関係ないですが、永嶋恵美さんの作品は他にもある中で、幻冬舎というだけでピックアップてしまうのは完全に幻冬舎のブランディングにやられているのかもしれなし^^
個人的には団地で暮らしたことはありませんが、地元には大きな団地がいくつもあって、友人もいましたし学校の先輩後輩も沢山いたので、団地での生活の大変さも簡単に思い出せる分、妙なリアル感をもって読むことができましたね。
収録されているのは、表題ともなっているインターフォンの他「妹」「隣人」「団地妻」「非常階段」「追い剥ぎ」「梅見月」「小火」「花笑み」「迷子」の全10編。
中でも気になったのが、団地に住んでいるどう見ても勤め人とは思えない男(武澤)を不審に感じている団地の住人(主に奥様方)が男の正体を暴こうとする「追い剥ぎ」ですね。
作品全体に流れる団地の陰鬱としたイメージの中で、何か犯罪が起きるのでは、、と思わせておきながら、事件とはまったく逆の展開になるところは巧くまとめた感じがあります。狭い空間、狭い人間関係だと「噂」や「イメージ」だけで決まってしまうことはよくありますが、それを逆手にとった内容になっています。
この他の作品も一部物足りなさを感じるものがあるものの、全体的にまとまった感はあるので、長編はしんどいけど短篇なら読めるという人は手にとってもいいかと思います。
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