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人柱はミイラと出会う 石持浅海著

2013-04-06[読書探偵物

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独特の世界観がある作品を多く書いている石持浅海さんですが、今作「人柱はミイラと出会う」では「人柱」や「黒衣(くろご)」など日本の古い風習がそのまま継続している現代が舞台となっています。
人柱はミイラと出会う 石持浅海著

そして主人公は「人柱」を生業(後で説明をいれます)としている東郷直海。その東郷直海が日本の風習をモチーフにした難事件を独自の観点から解決していく探偵物の体裁をもった短篇集です。


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まあ、パラレルワールド物といえばパラレルワールド物ですけど、実際に日本あった風習で馴染みもあるため、妙なリアリティがあるのがポイントになっています。

ちなみに、各章のタイトルはこんな感じ

・人柱はミイラと出会う
・黒衣は議場から消える
・お歯黒は独身には似合わない
・厄年は怪我に注意
・鷹は大空に舞う
・ミョウガはこころに効くクスリ
・参勤交代は知事の務め

問題の人柱については冒頭にこんな説明があります。
「城・橋・堤防などの難工事の際、その完成を祈るために、神への生け贄として生きた人を水底またま地中に埋めたこと。また、その埋められた人。」

えっと、これだと主人公の東郷直海は第一話で亡くなってしまいますね^^

なので、この作品の中では人柱が「神への生け贄」であることは変わりませんが、難工事の度に殺してしまうのではなく工事が無事に終わるまでの人質といった意味で、専用の部屋に閉じ込めておくことになっています。

したがって東郷直海も工事がある期間だけ人柱として仕事をし(期間はまちまちですが、数ヶ月以上になることも多いようです)、それ以外の時間は基本的には自由気ままに暮らしています(報酬もそれなりに高いようです)。

ふ~~
人柱の説明だけで終わりそうな勢いですね(笑

細かいところは作品を読んでもらうといいとして、そんな奇妙な職業に就いている東郷直海はその経験からか元々の素質かはわかりませんが、どことなく厭世的なところがあって物事を冷静に見つめる性質を持っています。

その彼に様々な難事件が舞い込んできます(巻き込まれることもあったな)、そして冷静なキャラクターそのままに事件を解決していくと。う~ん、かなりざっくりなことになっていますが、短篇なのであらすじでもネタバレになりそうなので、読んでからのお楽しみとしておいてください。

内容的には、東郷直海の名探偵ぶりが凄くて「おいおい」と言いたくなるところもありますけど、その彼を脇で支えるというか、ある意味ワトソン役でもあり道化にもなる東郷直海の従姉妹の一木慶子と留学生のリリー・メイスの二人の女性の存在-特に日本の風習を知らない留学生がいること-がいいアクセスになっています。

また、短編とはいっても時系列としては繋がっていて、人柱として達観していたはずの東郷直海がリリーと接していく中で、少しずつ心の変化が起きてくるところも物語の見どころのひとつにもなっています。

長編にしても面白いかな、、、
と一瞬思ってはみましたけど、ベースになっている「ネタ」が出落ちというと失礼ですけど、あまり深く追求するとインパクトが薄くなってしまう感じもあるので、短編のほうが歯切れがよくていいのかもしれません。

推理物、探偵物が好きだけと長編になると読むのがしんどいと感じている人は是非手にとってもらいたい1冊です。もちろん長編慣れした人が読んでも十分楽しめると思います。

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