受命 Calling 帚木蓬生著
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現役の精神科医である帚木蓬生の著書はどれも「人の尊厳」のような物を丁寧にそしてしっかりとした筆致で描いているので、お気に入りの作家の1人なんです。
「受命 Calling」も人の尊厳についても描かれていますが、そこに某国の事情というのが加わったことにより深く考えさせられる1冊でした。
物語の始まりは、日系ブラジル人医師、津村リカルド民男が北京での国際会議の席で平壌産院の許日好(ホ・イルホ)医師と出会い、北朝鮮の平壌産院での指導をお願いされるところから始まります。
最初は返事を保留した津村医師ですが、旧友で脱北者を支援するNGO活動を行っている車世奉(チャ・セボン)と会うことで平壌産院行きを決意します。
それと平行する形で、元々津山医師と親交のあった、日本人の北園舞子、韓国にいる寛順(カンスン)もそれぞれ別の事情を抱えながら北朝鮮に向かうことになります。
そして、この3人が北朝鮮内で出会うときに国家を揺るがす一大事件が起こる・・・
といった流れになっています。
3人が最後に同じ場所に集結する「必然性」が薄いのが若干気になりましたが、そんなことは些細に感じるくらい北朝鮮の悲惨な現状とそれと反比例する綺麗な景色といったことを丹念に描いているので、物語に入りやすかったです。
もちろんそこに帚木蓬生らしい心理描写が加わるので、物語+登場する人達にも感情移入しやすい作品だと思います。
ただ、内容が重たいのと文庫版でも594ページと長編になっているので読む切るにはちょっと時間が掛かりました。。。
<参考>
この「受命 Calling」について帚木蓬生自ら語ったインタビューがあります。これも読むとまた作品の深さが増すので必読ですね。
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