森博嗣著の「思考」を育てる100の講義は目次を見て予習してから読むのがいいかも
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「思考」を育てる100の講義は、『すべてがFになる』『スカイ・クロラ』などの著者で元某国立大の教授でもあった森博嗣さんの最新刊で、講義とはなっていますが100のテーマに沿って森博嗣の考え方をまとめたものです。
各講義は見開き2ページと短いですし、森博嗣さんの語り口が簡潔なため非常にテンポよく読めるので、100という数字のイメージよりも早く読むことができます。
各講義の内容も面白いのですが、一番関心を持ったというか「納得」したのが、まえがきにあるこの部分。
最初に一行のタイトルを百考える。これを半年ほどかける。二日に一つくらいのペースだ。
それが出揃ったところで、すべての文章を書く。これには、十時間ほどしかかからないので、一日一時間半かければ一週間で終わる。
※赤字はこちらで付けました。
実際の執筆作業よりも、アウトラインを作るほうが圧倒的にかかっているそうです。逆に言うとアウトラインを作る段階で「意図的に時間をかけている」ということになります。この辺りの匙加減は様々な仕事でも応用が効くように思えますね。
森博嗣さんの切り方は斬新という見方もありますけど、本質をついていて共感したり納得する点が多いんですよね。ただし大人の判断とは少し違う部分もあるため、違和感を持つことも考えられます。
なので、一通り読んだ感想を書くのではなく自分なりの「思考」を育てる100の講義の読み方をお伝えしたいと思います(って、タイトルに全部書いてますけど…)。
「思考」を育てる100の講義の読み方
「思考」を育てる100の講義は最初から順に読むのではなく、目次(これが講義のテーマ)に目を通し気になるところがあったら、まず自分でこのテーマについて一度思考をまとめます(この時メモを書いたり、データ化するのは各自好きにしてもらってOK)。
自分の考えがまとまったところで、著者である森博嗣さんの話を読みます。
多分まったく同じというところはないと思いますが、その違いなども含めて再度検証すると。
こうやっていくと、ひとつのテーマに対して深い思考をすることができると思います。
もちろん、それなりの時間が必要なので全部の講義に対応するのは難しいでしょうから、気になった講義だけこのやり方でそれ以外はさらっと読んでもいいと思いますよ(元々読者が考えることが無理な講義もありますし)。
「思考」を育てる100の講義の目次
本当は買ってから考えてもらうのがいいんですけど、外したら勿体無いので、ここに目次を掲載しますので、一つでも気になる物があれ是非購入して思考することを試してはいかがでしょうか。
<1限目>
未来を考え、現在に生きる「人生論」
1、明日死ぬと思って行動し、永遠に生きられると思って考える。
2、競争社会だというけれど、まずスタート地点が同じではない。
3、競泳なのか高飛び込みなのか、プールから上がったときにわかる?
4、歩き始めるまえが、一番疲れている
5、若者は基本的に有利だ。時間という財産を持っている。
6、ときどき、自分は何を作り出しているか、考えてみよう。
7、食べやすい、というのは料理に対する褒め言葉なのか?
8、芸術家というのは、過去の仕事に価値が生じる職業だ。
9、なにかの記念のイベントで仕事が来ることが多いのだが、いかがか。
10、厭きられるか、期待はずれか、いずれかになる。
11、死に物狂いで頑張ろうというとき、大事なことは「引き際」である。
12、得意不得意というのは、他者との関係で決まるものである。
13、よく燃えるものは、早く消える。くすぶっているものは、長く燃えている。
<2限目>
思考の盲点をつくらない「知識」論
14、知識が災いすることは、知識が幸いを招くのとほぼ同じくらいの頻度。
15、水が何でできているかを知っていることは、やはり重要だと思う。
16、自慢ではないが、僕くらい非常に忘れっぽい人間はあまりいない。
17、「演繹」という言葉は、何故あまり使われないのだろうか。
18、逆方向から考えても、論理的に導かれたものは同じになる。
19、今や、理由のないものが新しい。
20、意味を求めることの無意味さをときどき考えよう。
21、組み合わせると別物になる、という例は非常に多い。
22、上手くいかないときには、必ず理由がある。それが現実というものだ。
23、遂行というのは、失敗のリカバリィの連続、その積み重ねである。
24、「くよくよしないで頑張ろう」というのは消極的な姿勢である。
25、情報と広告は違うものか?
26、マスコミは、大きな社会的ムーブメントの切っ掛けになる夢を追っている。
27、最初に仕掛けた人は、「仕掛けよう」とさえ思っていない。
28、人口よりも自然を観察するほうが、オリジナルが得られる。
<3限目>
なまった理性を研ぎすます「感情」論
29、はっきりしない人間になろう。
30、他人の感情的評価に影響されることで、大勢が自由を失っている。
31、感情的になるな、というのではなく、感情で観察を遮断するな、である。
32、好きか嫌いで選択できる時代では、嫌いになることで避けられる。
33、「心に響く」ことがそんなに大事だったら、もっと響きやすい心を持ったら。
34、世の中に人が大好きなのは、「確認作業」である。
35、日本は大丈夫だ、と書いたら、悲しいと書いてきた人がいた。
36、スタッドレス・タイヤを信じてしまえる人は怖い。
37、どうして年寄りになると風景が綺麗なことが嬉しいのだろう。
38、若いときには、何故こんな簡単なことがわからないのだ、と腹が立った。
39、自信をみなぎらせる技術者は信頼できない。
40、春は暖かさが楽しく、秋は涼しさが嬉しい。
41、偽善はいくらでも美しく見せられるが、優しさは飾ることができない。
<4限目>
疑問から本質に近づく「表現」論
42、「自己表現」って何だ?それ以外にどんな表現があるというのか?
43、たとえば、今一番欲しいものは、三トンくらいの土である。
44、「早く死なせてあげたい」という言葉が問題発言になるほど狂っている。
45、「命の問題だ」といのは、「多額の金の問題だ」という意味らしい。
46、なにか不満をいうとき、ついでに小さい方も言ってしまうのがいけない。
47、「知った顔」も「知らない顔」もいけないのだったら、どうすれば良い?
48、やればできる、という台詞は、言えば言える。
49、なにごとも経験、というが、経験は効率が悪すぎる。
50、◯◯を眺めて一杯、という表現が多いが、飲まないと楽しさがわからない?
51、「充分な説明がない」とは、ただ「反論の糸口が欲しい」という意味である。
52、「私、馬鹿だから、わからない」と言う人が馬鹿である。
53、お前の話だ、と直接言われると、腹が立ってします。
54、「馬鹿に金棒」という諺がないのは、たぶん普通のことすぎるからだろう。
55、「それは成功したから言えることであって」って、当たり前でしょう。
56、今、本を書くなら、「持ち上げる力」とか「握る力」が洒落ている。
57、文法的に間違っていても、それが正しいことは多い。
58、やば、やばすぎ、すご、すごすぎ、など、好きすぎる。
59、そのうち、「今から息を吸います」とネットで呟くようになる。
60、嘘をつくには思考力が必要である。
61、匙加減というのは、妥協のことではなく、スパイシィさを求めることだ。
<5限目>
客観的思考を手にする「社会」論
62、謎の多い世の中だが、謎は多い方が面白い。
63、当たり前だが、原発よりも怖いものが沢山ある。
64、「集中豪雨」について、いつも僕が思い出すこと。
65、出版界は、この頃かなり刹那的になってきた。
66、水着の少女を本の表紙にするのをやめたらどうか。
67、猫派と犬派に分かれているように認識されているのがおかしい。
68、システムが不変であるという立場の人に、システムが悪いと指摘しても無駄か。
69、こっくりさんを初めて知ったときは、正直、凄いと思った。
70、人間もETCにしてほしい。
71、民主主義というが、民主は主義ではないだろう。
72、「政治に関心を持て」と命令形で言うほどのことではない気がする。
73、小説を読むことが趣味だ、と言えるほど、文芸はマイナになった気がする。
74、日曜コックという言葉がないのは何故なのか。
75、なにかというと印刷物を作りたがる。親睦会とかと同じなのか。
76、組織の寿命の方が短いことを、ときどき忘れがちである。
77、法律というものの成立ちが、僕にはよくわからない。
78、つい最近、公の補助金をもらった。もっと使い道があるのでは?
79、躾が、個性を奪うことはない。
80、いつから体罰はいけないことになったのか、なんとなくだろうか?
81、自由を教えるにはまず、支配すれば良い。
82、ニュートラルであれ。
83、平和な社会が、ほんの偶然で、ほんの一時のことだ、という感覚はある。
<補講>
思考に「遊び」をつくる森教授の視界
84、仕事をしないことがいかに健康的か。
85、森博嗣は丸くなったのか?
86、思想家なんて呼ばれるようになったのだが、何のことだろうか?
87、インド的だとよく言われるけど、インドのこをとよく知らない。
88、最近、試験や問題集に著作が使われている。もっと使えるものがあるのでは?
89、森博嗣が映像化されない理由がわからない人が多い。
90、子供の頃はNHKばかり見ていた。
91、僕がコーヒーを毎日飲んでいることについて。
92、最近、僕はキャッシュレスになった。
93、僕が蒸気機関車を作ることに対して、僕の思っていること。
94、キャタピラのついたものが欲しいこの頃。
95、子供の頃、ロケットエンジンが作りたかった。
96、給料というのは、お小遣い感覚だった。
97、ひやしっちゅうか、ひやしちゃうか、ひやかしっちゃうか、ひやかしちゅうか?
98、子供のときには、会計という職務の大切さがわからなかった。
99、「台頭する妻たち」という本が書けそうな気がする。
100、この世でもっとも難解な文章は、税務署から来る封筒に入っている。
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