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ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ 三上 延著

2013-03-01[読書ミステリ

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ビブリア古書堂の事件手帖、待望の第4巻。今回は江戸川乱歩を中心に謎解きを行なっていく長編になります(今までは一作品ごとに完結した短編集でした)。
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~

古書に関する薀蓄(今回はほとんどが江戸川乱歩作品)もさることならが、第1巻から「謎の人物」となっていた栞子さん、文香さんの母親である篠川智恵子さんが登場するのがひとつの見所となっています。


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まずは巻頭のプロローグでいきなりその篠川智恵子さんからビブリア古書堂に電話が、しかも場所はお店の近くから掛かってくるという不穏な雰囲気からスタートします。

最初からボスキャラ登場!
というくらいの衝撃がありますが、この時点では栞子さんが外出中ということもあってコンタクトはなくプロローグは終了します。

後日、電話があったことを五浦大輔が栞子さんに報告していると、お店に「珍しい古書に関する、特別な相談があるので、古書に詳しい人に来てもらいたい」という田辺邦代と名乗る訪問者が訪れるところから本当の物語が始まります。

この特別な相談が江戸川乱歩に関することは聞いたものの、訪問者は本当の依頼主ではなく姉である来城慶子(キシロケイコ)の代理のため、詳しいことは後日自宅に来てもらってからということになり、栞子さんと五浦大輔が依頼主の自宅に訪問します。

この道すがらの栞子さんの江戸川乱歩に関する薀蓄も興味をそそられるもので、ビブリア古書堂の楽しみのひとつでもありますが、内容は読んでからのお楽しみと。

来城邸に到着すると待っているのは、お店に来た田辺邦代と呼吸器をつけた女性、、、どうもこの人が本当の依頼主である来城慶子のようで、問題の古書を見せてもらうと江戸川乱歩が全編揃っている他、当時の販促物も揃っているほどの蒐集ぶりに流石の栞子さんも圧倒されます。

そして、、、
これらの古書を買取ってもらうには「この金庫が開けられたら」と年代物の金庫を取り出してきますが、この金庫が普通の金庫ではなく日本軍が使っていたと思われる3重のロックの掛かったもので、鍵の他に暗証番号も必要な難物。

古書の買い取りが掛かった栞子さんは当然この依頼を受け、金庫を開ける「鍵のありか」「暗証番号」の推理に取り掛かります。。。。

ここに、栞子さんの母である篠川智恵子、第3巻で登場した辻堂にある古本屋「ヒトリ書房」の店主井上一太郎などが絡んでいき物語は進行していきます。あと、来城慶子と江戸川乱歩の古書を蒐集した人物との関連、そしてその家族も巻き込んでいます。

金庫の暗証番号の推理はさすが栞子さんとも言えるものですし、登場人物が増えているにもかかわらず小さな伏線を張りつつも破綻しないで最後まで持っていくプロットは素晴らしいと思います(短編とは違った面白さがありました)。

特に人間関係は「いかにも」なくらいに時間軸も含めて入り組んでいるのですが、最後のところではしっかりと整理されていますし、今後の展開を楽しみにさせる仕掛けもあります。

その他特に印象に残ったのは母、智恵子に対する栞子さんの激情ぶりと、正反対に静かに受け止める妹の文香さん(内情は違っていますが)の対比。今までのイメージだと静かな栞子さんに対して活発な文香さんでしたが、母に対してだけは違った表情を見せてくれましす(これが二つの顔の正体)。

ただ、ちょっと惜しいなというか、気になったのは栞子さんも含めて全体的なキャラクターイメージが少し「濃い目」になって押し出しが強くなった点、第3巻まではもう少し「ふわっと」した部分があった気がしましたんですけどね、、、

この辺は映像化された作品も見ているため、余計に感じるのかな、、、
なんて思ったりもしますが、読み返してみても少し映像化に引っ張られている印象は変わりませんでした。

でも、その影響も作品的にはそんなに大きなものではないので、ビブリア古書堂の事件手帖の第4巻も本好きにとっては楽しく読める本であることは間違いありません。

そして、この作品を読んで、次回作はもちろんですが、江戸川乱歩の作品を改めて読みたいと思ったのは自分だけじゃないと思います^^

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