天岩屋戸の研究 田中啓文著
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蓬莱洞、邪馬台洞と続いた「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」シリーズの第3弾でエンディングを迎えるのがこの「天岩屋戸の研究」です。
学校の裏手にある「常世の森」と日本に伝わる神話や伝記、そして民俗学等々を組み合わせてきたシリーズですが、広がりすぎたのでこの辺で畳むのがちょうどいいのかなと^^
細かい内容は読んでからのお楽しみとなりますけど、ベースになるものは想像や空想ではなくて史実に基づく(といっても事実とは限らないですが)もので、それを田中啓文さんなりの解釈(多くは駄洒落)が加わっているのがポイントとなります。
中には「その駄洒落を使いたいがために引用したでしょ」と思えるところもあるんですけど、その流れすら作品の一部として成立させることができるのは、作者の巧さでもありサービス精神なんですよね。もっともそういったおふざけが苦手な人もいるでしょうから、読者を選ぶ作品なのは確かです。
だって主人公は諸星比夏留(もろぼしひかる)という女子校生なんですけど、身長が155cmで華奢な体型でありながら体重が220kgというとんでもない設定なんですよ。もうこの時点で「おいおい!」と突っ込みたくなりますよね。
ちなみに、比夏留は古武道<独楽>の達人で、シリーズを通して窮地に立たされると<独楽>の技で切り抜けていきます。
ちょっと脱線気味になりましたが「天岩屋戸の研究」は、あの日本神話にある天照大神が隠れたという「天岩屋戸」が常世の森にあって、それを開くと世界の立て替え立て直しができるということで、民俗学研究会顧問の薮田浩三郎が裏で動くというのが骨格。
その中で、田中喜八郎学園、常世の森、そして薮田先生がなぜ民俗学研究会の顧問をやっているなどの秘密が解明されていきます(まあ、ここまでで広げた風呂敷を徐々に畳んでいくと)。
なんかざっくりだな、、、
元ネタというかベースは最初に書いたように神話や伝記が中心で、原文も引用されていてそこだけみると難しくなるんですけど、そこに変な解釈や駄洒落がいい塩梅(多めかもしれないですが)に散りばめられていて読みやすいことは読みやすいです。
書評なのにストーリーをほとんど書いてないですけど、「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会」シリーズは細かいところよりも(細かいところでも色々と小ネタが挟まれていますけど)、作品全体に漂っている雰囲気が楽しい作品なので、ネタ元になっている神話や伝記が嫌いじゃない人は絶対に楽しめると思います。
「天岩屋戸の研究」単体でも楽しく読めるとは思いますが、前2作からつながっているところも多いので、できたらシリーズの最初から読んだほうがより楽しめると思います。
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