#9(ナンバーナイン) 原田マハ著
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今年の頭に「一分間だけ」を読んで原田マハさんの著書を読みたいなと思い、手にしたのが昨年末に文庫化されたこの「#9(ナンバーナイン) 」です。
この作品は「一分間だけ」の動物愛ではなく、人と人の恋愛を描いた恋愛小説です。
主人公の深澤真紅は、美術関係の職に就くなるために上京したものの現実は「ただのポスターを高額で販売する」ショップの販売員をやっている。しかも仕事の成績は芳しくない・・・
そんな真紅があるときふと立ち寄ったジュエリーショップで上海の実業家「王剣」と運命的な出逢いをする。そこから真紅の運命はジェットコースターのように展開し、中国美術界へ足を踏み込むことになる。
王剣の真紅に成功者ならではの、強引な対応にはプリティウーマンを連想させるようなファンタジー要素が入ってきますが、それを受ける真紅の気持ちの揺れ─無防備に受け入れる→独占欲→嫉妬→反発など─を的確に表現しているので、現実的な話としてとらえることができます。
また、中国(上海)の状況、中国美術の詳細な記述が、脇を固めるというか話のディテールを固めることになり、物語へ引き込まれることになります。
タイトルにある「#9(ナンバーナイン) 」につても、真紅が住まわされる緑葉西路の洋館の名前でもあり、影になり真紅を支える人物の名前であり、、などいくつかの意味を持たせているのも深みを感じます。
※真紅を支える人物がなぜ「#9(ナンバーナイン) 」と呼ばれているかは、読んでからのお楽しみとしてください。
この作品は最初と最後が現在で、途中が過去になる構成になっています。ただし、単純な過去の回想録ではなく見方によっては別の物語といってもいいくらいギャップがあります。この差は意図的なものだと思いますが、あえてこのパターンを選んだ作者のうまさ、自信を感じました。
恋愛小説はそれほど読むほうではないのですが、原田マハさんの作品は人と人のつながりの他に強烈なインパクト(#9(ナンバーナイン) だと中国関連の描写)があるので、楽しく読むことができました。
原田マハさんの作品はあと10冊ほど刊行されていますが、文庫化されているのは3冊で全部読んでしまったので、次どうするか悩むな(個人的には文庫大好きなので・・・)
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